顕微鏡で土をミクロのスケールでのぞくと、薄いスレートの重なりのようなものが見えます。また、マクロのスケールでは、掘削した鉱山は地層のレイヤー(時間の現れ、何万年もの時を経た石の堆積作用。)になっています。MINO SOILのプロジェクトにおけるわたしたちの取り組みは、多治見という土地ならではのタタラ機による製造方法を尊重しながら、セラミックを再解釈するというものです。私たちは、3_つのオブジェを通して、粘土に本来備わっているストーリーを伝え、そのフォルムには、通常はあまり目にすることのないクラフトのプロセスが内包されています。

素材の世界からフォルムが立ち上がるような形態発生的なプロセスは、まるで「時間の考古学」のようです。デザインをする上では、プロセスと自然のリソースを保つこと、緻密でありながら柔軟なコンポジションに開かれることを常に念頭におきました。

(オブジェ1 _重力)タタラと手の記憶を留める何層にもなったスレート。中央部分をシンプルに手でカットすると何か物を入れられる可能性が出てくる

(オブジェ2 _種をまく)何層も何層も暖かく手で包み込むようなかたち。隙間に種が落ち、空に向かって色鮮やかに花が咲く。

(オブジェ3 _スレート)重ねられたプレート。機が熟しあつまったものたち。暖かな土の上にのった色鮮やかな果実。