型による精度の高い焼き物を製作するのではなく、パーツを繋ぎ合わせるという手法で、工業製品と工芸品の中間的なものを作れないか?というのが始まりです。そして私がこれまで様々な素材でカゴを製作してきた経緯から、「土のカゴ」を作るというコンセプトに繋がりました。
型での製作方法はその形状のみしか生産できませんが、棒状の材料を利用して様々な形状のカゴを制作することを考えました。
土壌機で粘土を真空状態にし、強力な圧で棒状に押し出します。それを手で曲げて、接合するという作業自体は単純なものです。製作者が違っても、ある一定のクオリティを保つ事も考慮し、棒同士の接合部分は半円状の切り込みを入れる道具を製作しました。今回は私自身で製作し、熟練の作陶家でなくとも製作が可能であるということも実証しています。
調合が全くない原土は可塑性が少なく、ひび割れが生じるので、今回は木節粘土の調合土を使用する事にしましたが、今後引き続き、美濃の土の可能性を探っていきたいです。また今回の焼成は、独特なオレンジ色を醸し出す還元焼成を選択していますが、土と焼成方法とデザインの相性についても更に追求していきたいと思っています。